Your Cart

名釜マイセンとその歴史

meissen-blue

ヨーロッパ磁器制作の歴史が始まった17世紀、日本や中国から白色磁器が伝わると、その価値は金銀にもまさる宝とされ、ヨーロッパ王侯貴族達の心を強く魅了し、磁器焼成窯が全ヨーロッパで次々と誕生して行きました。

1710年、ヨーロッパ初の磁器完成はアウグスト強王が雇い入れた錬金術師ベットガーによって成功をもたらし、王立ザクセン磁器工場が設立。すなわち国立マイセン磁器製作所の前身の工場です。

現在ヨーロッパ各国でそれぞれが形を変え、デザインを変えて美しい器を制作している根底には、マイセンに貢献した、硬質白磁を生み出した錬金術師ベッドガー、手書き技術向上の立役者へロルト、ロココ人形の原型作家で’彫刻家ケンドラー達の存在なしには、ヨーロッパ磁器の歴史を語ることは不可能と行っても過言ではないでしょう。

初期マイセン工場では王の命により、白磁に描かれた模様は日本の柿右衛門や伊万里を模倣したものでした。ザクロや菊などの絵付けを元に描かれたブルーオニオン。はるか遠い中国や日本の文様に触発されて生まれた作品。誕生からすでに250年以上を経ている現在でも世界で最も愛されているマイセン作品として君臨しています。

マイセンのバラが描かれた壺ヨーロッパの感心が大航海時代、東洋へのあこがれと磁器への興味を高めたことが、多くの魅惑的なデザインを生み続けた要因になっています。マイセンは2万とも3万とも言われる異なるデザインパターンを持ち、伝統的な造形から現代的な作品の一つ一つまでもが手作業で制作されています。器作りには欠かせない強い忍耐力と自負を兼ね備えた職人たちの手で、マイセンは現在もヨーロッパ磁器の王者としてその風格を守り抜いています。

白磁に描かれた花々、果物、景色、鳥や動物、肖像画 そのどれもが、マイセン職人として特別訓練を受けた絵付師達の豊かな経験と技術で織りなされた芸術的な手工芸製品です。歴史的な作品もさることながら、現代作品(オーキッド)や(千夜一夜物語)デザインを手掛けたベルナーもマイセンに欠かせない立役者の一人です。

何時の時代でも何故マイセンは多くの人々の心を魅了するのでしょう。全く二つと無い手描きの芸術作品は愛でる度に新鮮さを伴います。描かれた時代の匂いが感じられます。職人たちの心意気が伝わって来ます。数本の筆のみで白磁のキャンパスへ描きあげる自然界。色の調和。日々食と共有出来るこれ等の作品に、私たちは時代を超越した心の豊かさを感じ取ることが出来るのでしょう。