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フィレンツェをもっと楽しむ!旅行者必見のおすすめエリア10選
フィレンツェ。ルネサンスの息吹が今も色濃く残るこの街は、世界中の人々を魅了し続けています。
赤茶色の屋根が連なる美しい街並みは、まるで美術館そのもの。歴史的建造物や世界的に有名な美術館、そして美味しい食事など、訪れる人々を飽きさせない魅力に溢れています。
しかし、初めてフィレンツェを訪れる際、数多くの宿泊エリアの中からどこを選べば良いのか迷ってしまうのは当然のことでしょう。
滞在場所は、旅の満足度を大きく左右する重要な要素です。観光の拠点として利便性の高い場所が良いのか、それとも落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと過ごしたいのか。それぞれの希望によって、最適なエリアは異なります。
そこでこの記事では、初めてフィレンツェを訪れる方のために、厳選した10の滞在エリアをご紹介します。それぞれのエリアの特徴、魅力、そしてどんなタイプの旅行者におすすめなのかを詳しく解説することで、皆様のホテル選びをサポートします。
例えば、フィレンツェの象徴であるドゥオーモを中心としたエリアは、主要な観光スポットへのアクセスが抜群です。壮大なドゥオーモの姿を間近で見ることができ、常に活気に満ち溢れています。
一方、シニョリーア広場周辺は、ウフィツィ美術館やヴェッキオ宮殿など、芸術と歴史の中心に位置しています。芸術鑑賞を目的とする旅行者にとっては、最高のロケーションと言えるでしょう。
ロマンチックな雰囲気を求めるなら、ヴェッキオ橋周辺がおすすめです。アルノ川に架かる美しい橋の周辺は、散策するだけでも特別な時間となるでしょう。
サンタ・クローチェ地区は、革製品の工房や市場など、地元の人々の生活に触れることができるエリアです。サン・ロレンツォ地区は、中央市場があり、フィレンツェの食文化を堪能したい方におすすめです。
オルタルトラーノ地区は、職人の街として知られ、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと過ごしたい方に最適です。アカデミア美術館に近いサン・マルコ地区は、ミケランジェロのダビデ像を鑑賞したい方にとって外せないエリアです。
レプッブリカ広場周辺は、高級ブティックやカフェが立ち並び、洗練された雰囲気を楽しめます。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺は、鉄道を利用する旅行者にとって非常に便利です。そして、展示会などが開催されるバッソ要塞周辺は、イベント参加者にとって最適な立地です。
この記事を参考に、あなたの旅の目的やスタイルに合った最適なエリアを見つけて、最高のフィレンツェ旅行を実現してください。
ドゥオモ
フィレンツェのドゥオモ(Duomo)周辺は、単に有名な大聖堂を見るだけの場所ではありません。
それは街の中心、まさに心臓部であり、歴史、芸術、そして活気に満ちたエネルギーが絶えず脈打っている場所なのです。
このエリアは非常に魅力的である一方、初めてフィレンツェを訪れる旅行者にとって、滞在を決める前にその全体像をしっかりと理解しておくことが大切です。では、さらに深く掘り下げて見ていきましょう。
ドゥオモ地区の中心となるのは、何と言ってもドゥオモ複合施設です。ドゥオモ広場にそびえ立つのは、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂だけではありません。
そこは、息を呑むほど美しい建造物群が集まる場所なのです。その中でも最も象徴的な存在である大聖堂(ドゥオモ)は、ルネサンス建築の傑作であり、特にブルネレスキが設計した巨大なドームは、フィレンツェの象徴として世界的に知られています。
赤茶色のテラコッタで覆われたその壮大な姿は、街のどこからでも見ることができ、訪れる人々を圧倒します。
ドームの頂上まで登れば、フィレンツェの街並みを360度見渡せる絶景が待っていますが、463段の階段は決して楽な道のりではありません。エレベーターはなく、狭い通路を上り続けるため、体力に自信のない方や閉所恐怖症の方は注意が必要です。
大聖堂の隣にそびえるジョットの鐘楼も、見逃せないスポットです。ゴシック様式の美しい外観が特徴で、大聖堂のドームとはまた違った視点から街の景色を楽しむことができます。
こちらも階段でのぼる必要がありますが、ドームに比べると幾分楽に登れるでしょう。そして、広場の一角に建つサン・ジョヴァンニ洗礼堂は、フィレンツェ最古の建造物の一つです。
特に有名なのは、東側の扉に施された「天国の門」と呼ばれる金色のレリーフです。旧約聖書の場面が精緻に描かれたこの扉は、ルネサンス彫刻の最高傑作と称えられています。
これらの建造物群からオリジナル作品を収集・展示しているのが、ドゥオモ付属美術館です。ここでは、ドナテッロの「マグダラのマリア」やミケランジェロの「ピエタ」など、ルネサンス美術の傑作を間近に見ることができます。
ドゥオモ広場自体もまた、重要な見どころの一つです。広場は常に多くの人々で賑わい、活気に満ち溢れています。壮麗な建築物を間近で鑑賞したり、記念写真を撮ったり、広場の雰囲気を楽しんだりと、思い思いの時間を過ごす人々で溢れています。
大道芸人やストリートミュージシャンによるパフォーマンスも頻繁に行われ、広場をさらに活気づけています。待ち合わせ場所としても最適で、人々を観察するのにも絶好の場所と言えるでしょう。
ドゥオモ地区に滞在する最大のメリットは、何と言ってもその最高の立地にあります。文字通りフィレンツェの中心部に位置するため、主要な観光スポットへのアクセスは抜群です。
ウフィツィ美術館、ヴェッキオ橋、シニョリーア広場など、フィレンツェを代表する名所へは徒歩圏内。時間を有効活用し、効率的に観光を楽しむことができます。
また、このエリアは歴史と芸術に深く根付いており、街全体が巨大な美術館のような雰囲気を醸し出しています。ルネサンスの息吹を肌で感じながら、歴史的な建造物や美術作品に囲まれた生活を送る、まさに没入型の文化体験が可能です。
さらに、ドゥオモ周辺は常に活気に満ちた雰囲気に包まれています。朝から晩まで観光客や地元の人々で賑わい、エネルギーに満ち溢れています。レストランやカフェのテラス席では、行き交う人々を眺めながら食事やお茶を楽しむことができます。
ただし、物価は他のエリアに比べて高めです。特に、広場に面したレストランやカフェは観光客向けの価格設定になっていることが多いので、予算を抑えたい場合は少し路地を入った場所を探してみるのがおすすめです。
ショッピングに関しては、高級ブティックからお土産物屋まで、あらゆる種類の店が揃っています。特に革製品はフィレンツェの名産品として知られており、ドゥオモ周辺にも多くの革製品店があります。
しかし、ドゥオモ地区への滞在にはいくつかの注意点もあります。まず、最も大きな課題は、その圧倒的な混雑です。
特に観光シーズン中は、世界中から集まった観光客でごった返し、どこへ行くにも人混みをかき分けなければなりません。主要な観光スポットに入るための行列も長く、時間に余裕を持って行動する必要があります。
また、ドゥオモ周辺はフィレンツェで最も地価の高いエリアの一つであるため、宿泊費や飲食費は他のエリアと比べて高くなりがちです。
予算重視の旅行者にとっては、少し厳しいかもしれません。そして、常に多くの人々が行き交い、大道芸人などがパフォーマンスを行っているため、騒がしい環境です。静かに過ごしたいという方には、あまり向いていないかもしれません。
シニョリーア広場
シニョリーア広場(Piazza della Signoria)は、単なる広場という枠を超え、フィレンツェの歴史と政治の中枢として、また芸術と活気に満ちたエネルギーが交錯する生きた博物館として存在しています。
フィレンツェの中心に位置し、観光客にとって非常に魅力的な場所であることは間違いありませんが、初めてフィレンツェを訪れる旅行者にとって、滞在先としてこのエリアを選ぶ前に、その利点と欠点をしっかりと理解しておくことが重要です。
シニョリーア広場の中心的な魅力は、何と言ってもその歴史的、芸術的な価値の高さにあります。広場を象徴する建造物の一つ、ヴェッキオ宮殿は、その堂々とした姿で広場を支配しています。
中世の時代からフィレンツェの政治権力の中心として機能してきたこの宮殿は、現在では博物館として公開されており、豪華な内装の部屋やルネサンス期の美術品を見学することができます。
特に、五百人広間と呼ばれる大広間は圧巻です。また、宮殿に併設されたアルノルフォの塔からは、フィレンツェの街並みを一望できる絶景が広がりますが、頂上までには多くの階段を上る必要があるので、体力に自信のない方は注意が必要です。
広場のもう一つの見どころは、ロッジア・デイ・ランツィです。ここは、屋外彫刻ギャラリーとして機能しており、ベンヴェヌート・チェッリーニの傑作「メデューサの首を持つペルセウス」や、ジャンボローニャによる迫力のある彫刻群「サビニの女たちの掠奪」など、ルネサンス期の彫刻の傑作を間近で鑑賞することができます。
屋根付きの構造になっているため、天候に左右されずに芸術鑑賞を楽しめるのも魅力です。そして、広場の一角には、ミケランジェロのダビデ像のレプリカが立っています。
本物のダビデ像はアカデミア美術館に所蔵されていますが、この広場に置かれたレプリカは、かつてこの場所にオリジナルが置かれていたことを示しています。広場という開放的な空間に置かれたダビデ像を見ることで、その巨大さや迫力をより一層感じることができるでしょう。
また、シニョリーア広場は、世界的に有名なウフィツィ美術館に隣接しています。ルネサンス美術の宝庫であるウフィツィ美術館へのアクセスが非常に便利であることは、このエリアに滞在する大きなメリットと言えるでしょう。
広場自体にも、ネプチューンの噴水など、数多くの彫像や噴水が点在し、広場全体の景観に華やかさを添えています。これらの彫刻や噴水もまた、フィレンツェの歴史や文化を物語る重要な要素となっています。
シニョリーア広場に滞在する最大の利点は、その比類なき中心部に位置していることです。フィレンツェの主要な観光スポットはすべて徒歩圏内にあり、ウフィツィ美術館、ヴェッキオ橋、ドゥオモなどへも簡単にアクセスできます。
観光の拠点として非常に便利な場所と言えるでしょう。また、この広場はまさに歴史と芸術の中心に位置しているため、街全体が巨大な美術館のような雰囲気を醸し出しています。
歴史的な建造物に囲まれ、ルネサンスの息吹を肌で感じることができる、他に類を見ない体験ができます。
広場は昼夜を問わず活気に満ち溢れており、大道芸人や観光客で賑わっています。特に夜はライトアップされた建造物が美しく、昼間とは違ったロマンチックな雰囲気を楽しむことができます。
ただし、シニョリーア広場への滞在には、いくつかの考慮すべき点があります。最も大きな課題は、その混雑です。
特に観光シーズン中は、世界中から集まる観光客で広場は非常に混雑し、身動きが取れないほどになることもあります。落ち着いて観光を楽しみたい方にとっては、ストレスを感じるかもしれません。
また、このエリアはフィレンツェの中でも特に地価が高いため、宿泊費や飲食費も高めに設定されています。予算を重視する旅行者にとっては、他のエリアを検討する方が賢明かもしれません。
常に多くの人々が行き交い、イベントなどが開催されていることも多いため、騒音レベルも高めです。静かな環境でゆっくりと過ごしたいという方には、あまり向いていないかもしれません。
さらに、観光客向けの店やレストランが多く、地元の人々の日常生活に触れる機会は比較的少ないと言えるでしょう。よりローカルな体験を求めるのであれば、他のエリアの方が適しているかもしれません。
シニョリーア広場は、フィレンツェの歴史と芸術の中心に滞在することを最優先し、多少の混雑や物価の高さを許容できる旅行者にとって、最高の選択肢の一つと言えるでしょう。
短い滞在期間で効率的に観光名所を巡りたいという方にもおすすめです。しかし、静かで落ち着いた環境を求める方や、予算を抑えたいと考えている方は、オルトラルノ地区やサン・マルコ地区など、他のエリアも検討してみることをおすすめします。
ヴェッキオ橋
ヴェッキオ橋(Ponte Vecchio)は、単なる橋という枠を超え、フィレンツェの歴史と独特な魅力を凝縮した生きたシンボルと言えるでしょう。
この橋の周辺に滞在することは、確かに多くの利点をもたらしますが、初めてフィレンツェを訪れる旅行者にとっては、このエリア特有の事情を十分に理解した上で宿泊先を選ぶことが重要です。
ヴェッキオ橋の最大の特徴は、何と言ってもその独特な建築様式です。
橋の両側にはびっしりと商店が建ち並んでおり、中世の時代には肉屋や皮なめし職人などが店を構えていましたが、16世紀にメディチ家によって金細工職人や宝石商が集められるようになり、現在のような華やかな姿となりました。
この歴史的な経緯が、ヴェッキオ橋に他に類を見ない独特の雰囲気を与え、特別なショッピング体験を生み出しています。橋の上を歩けば、まるで宝石箱の中を歩いているかのような感覚を味わえるでしょう。
ヴェッキオ橋は、その歴史的な意義においても非常に重要な存在です。1345年に建造されたこの橋は、第二次世界大戦中、フィレンツェで唯一破壊を免れた橋として知られています。
戦火を生き延びたこの橋は、フィレンツェの不屈の精神と過去との繋がりを象徴する、力強いシンボルとなっています。アルノ川に架かる他の橋が破壊された中で、ヴェッキオ橋だけが残ったという事実は、フィレンツェ市民にとって特別な意味を持っているのです。
ヴェッキオ橋からは、アルノ川と周辺の美しい街並みを一望できます。特に、橋の上から川面を見下ろすと、橋の上に設けられた通路、ヴァザーリの回廊が目に飛び込んできます。
これは、メディチ家がヴェッキオ宮殿とピッティ宮殿の間を人目を避けて移動するために作らせた秘密の通路で、歴史的な逸話に彩られています。
ヴェッキオ橋は、アルノ川を挟んでフィレンツェの二つの側面、すなわち北側の歴史的な市街中心部と、南側のオルトラルノ地区とを結ぶ重要な役割を果たしています。この橋を渡ることで、市内の異なるエリアへ容易にアクセスできるため、観光の拠点としても非常に便利です。
ヴェッキオ橋周辺に滞在する最大の利点は、その中心部に位置することによる利便性です。ウフィツィ美術館、ピッティ宮殿、シニョリーア広場、そしてドゥオモなど、フィレンツェの主要な観光スポットのほとんどが徒歩圏内にあります。時間を有効活用し、効率的に観光を楽しみたい方には最適な立地と言えるでしょう。
また、ヴェッキオ橋自体とその周辺の景観は、息を呑むほど美しく、絶好の写真撮影スポットとなっています。特に、夕暮れ時には、夕日に照らされた橋とアルノ川のコントラストが幻想的な風景を作り出し、多くの人々を魅了します。橋の近くに滞在することで、時間帯を変えて何度もその美しい姿を眺めたり、写真に収めたりすることができます。
ヴェッキオ橋周辺は、常に活気に満ちた雰囲気に包まれています。観光客だけでなく、地元の人々も日常的に橋を渡り、商店街を散策しているため、フィレンツェの活気を感じることができます。特に日中は、多くの人々で賑わい、独特の賑わいを見せています。
さらに、ヴェッキオ橋の南側に広がるオルトラルノ地区へも簡単にアクセスできるのも、このエリアに滞在するメリットの一つです。オルトラルノ地区は、革製品や陶器などの職人工房が多く、落ち着いた雰囲気の中でショッピングや散策を楽しみたい方におすすめです。
しかし、ヴェッキオ橋周辺に滞在する際には、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。最も大きな課題は、その混雑です。特に観光シーズン中は、世界中から集まる観光客で橋の上は身動きが取れないほど混雑し、ゆっくりと景色を眺めたり、買い物を楽しんだりすることが難しい場合があります。
また、一等地であることと、その人気の高さから、ヴェッキオ橋周辺の宿泊施設や商店の物価は、フィレンツェの中でも特に高額です。予算を重視する旅行者にとっては、他のエリアの方が適しているかもしれません。
さらに、このエリアは完全に観光客向けに整備されているため、地元の人々の日常生活に触れる機会は比較的少ないと言えるでしょう。よりローカルな体験を求めるのであれば、他の地区を検討することをおすすめします。
そして、多くの人々が行き交い、商店の活動も活発なため、日中は騒がしい環境です。静かに過ごしたいという方には、あまり向いていないかもしれません。
結論として、ヴェッキオ橋周辺は、フィレンツェの中心部に滞在し、主要な観光スポットへのアクセスを最優先する旅行者、そしてヴェッキオ橋の象徴的な美しさを間近で体験したいと願う旅行者にとって、最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
特に、高級ショッピング、特にジュエリーや金製品に興味がある方にはおすすめです。ただし、混雑や物価の高さを許容できることが前提となります。
より静かで、より本物志向の、あるいは予算に合った滞在を希望する場合は、オルトラルノ、サン・マルコ、サンタ・クローチェなどの他の地区を検討することをおすすめします。
サンタ・クローチェ地区
サンタ・クローチェ(Santa Croce)地区は、フィレンツェの歴史と活気が息づく魅力的なエリアです。
文化、地元の人々の生活、そして主要な観光スポットへのアクセスの良さが絶妙に調和しており、初めてフィレンツェを訪れる旅行者にとって理想的な滞在先の一つと言えるでしょう。
ドゥオモ広場やヴェッキオ橋周辺と比べると、観光客の喧騒から少し離れ、より落ち着いた、本来のフィレンツェの雰囲気を味わえるのが特徴です。
サンタ・クローチェ地区の中心的存在は、何と言ってもサンタ・クローチェ聖堂です。世界最大のフランシスコ会教会であるこの壮麗な聖堂は、フィレンツェの歴史と芸術において非常に重要な役割を果たしてきました。
内部には、ジョットによる聖フランチェスコの生涯を描いた美しいフレスコ画があり、ミケランジェロ、ガリレオ・ガリレイ、ニッコロ・マキャヴェッリ、ジョアキーノ・ロッシーニといった、イタリアの歴史に名を刻む偉人たちの墓所としても知られています。その建築美と芸術的価値は、訪れる人々を魅了し続けています。
聖堂の正面に広がるサンタ・クローチェ広場は、地区の活気を象徴する場所です。広々とした空間は、地元の人々や観光客の憩いの場となっており、年間を通して様々なイベントや市場、祭りなどが開催されます。広場を囲む歴史的な建物やカフェの風景も美しく、散策するだけでも楽しい場所です。
サンタ・クローチェ地区は、革製品の工房が多いことでも有名です。古くから革製品の製造が盛んで、現在でも多くの職人たちが伝統的な技法を守りながら、バッグ、靴、革小物などを製作しています。
工房やショップを訪れれば、職人たちの熟練した手仕事を見学したり、高品質な革製品を購入したりすることができます。革製品以外にも、陶器、ジュエリー、その他の工芸品を扱う工房も点在しており、フィレンツェの職人技に触れる絶好の機会を提供しています。
また、サンタ・クローチェ地区には、ミケランジェロの生涯と作品に焦点を当てた博物館、カーサ・ブオナローティがあります。ミケランジェロ自身が所有していた家を利用したこの博物館では、彼のデッサン、模型、手紙など、貴重な資料が展示されており、彼の芸術と人物像に迫ることができます。
サンタ・クローチェ地区に滞在する最大のメリットは、主要な観光スポットへのアクセスの良さと、落ち着いた雰囲気の両方を兼ね備えていることです。ウフィツィ美術館、ヴェッキオ橋、シニョリーア広場、ドゥオモなど、フィレンツェの見どころはほとんど徒歩圏内にあり、観光の拠点として非常に便利です。
地区全体は活気に満ちており、地元の人々と観光客が自然に交流する風景が見られます。特にサンタクローチェ広場は、夕方になると多くの人々が集まり、アペリティーボを楽しむなど、フィレンツェの日常に触れることができます。
前述の通り、サンタ・クローチェ地区は、ドゥオモ周辺のような過度な混雑はなく、より落ち着いた雰囲気の中でフィレンツェの街歩きを楽しめます。地元のお店やレストランも多く、観光客向けの店ばかりではないため、より本物のフィレンツェの生活を体験できるでしょう。
レストランやカフェの選択肢も豊富で、伝統的なトラットリアからモダンなレストラン、カフェまで、様々な飲食店があります。地元の食材を使ったフィレンツェ料理はもちろん、各国の料理も楽しめるので、食事に困ることはないでしょう。
ただし、いくつかの注意点もあります。サンタ・クローチェ広場周辺は、夜になるとレストランやバーの賑わいで騒がしくなることがあります。静かな環境を好む場合は、広場から少し離れた場所にあるホテルを選ぶことをおすすめします。
また、ピークシーズン中は、他の観光地と同様に、サンタ・クローチェ地区も観光客で混雑します。とはいえ、ドゥオモ周辺ほどではないので、比較的快適に過ごせるでしょう。
サン・ロレンツォ地区
サン・ロレンツォ(San Lorenzo)地区は、フィレンツェの歴史と活気が交錯する、非常に魅力的なエリアです。宗教的な歴史的建造物、活気に満ちた市場、そしてルネサンスの芸術が融合したこの地区は、多くの観光客にとって魅力的な滞在先となっています。
しかし、市場を中心とした独特の雰囲気は、すべての人に合うとは限りません。初めてフィレンツェを訪れる旅行者にとって、サン・ロレンツォ地区の利点と欠点を理解することは、滞在先を選ぶ上で非常に重要です。
サン・ロレンツォ地区の中心的な見どころは、何と言ってもサン・ロレンツォ聖堂です。この聖堂は、フィレンツェで最も古い教会の一つであり、その起源は4世紀にまで遡ります。現在の壮麗な姿は、主にルネサンス期にブルネレスキとミケランジェロという二人の巨匠によって改修されたものです。
ブルネレスキは、初期ルネサンス建築の傑作とされる旧聖具室を設計し、ミケランジェロは、新聖具室と壮大なロレンツィアーナ図書館を設計しました。
特に、メディチ家の菩提寺として、歴代の当主たちが埋葬されていることは、この聖堂がフィレンツェの歴史において重要な役割を果たしてきたことを物語っています。
サン・ロレンツォ聖堂に隣接するメディチ家礼拝堂(Cappelle Medicee)は、その豪華絢爛な内装で訪れる人々を圧倒します。特に目を引くのは、大公の礼拝堂(Cappella dei Principi)です。
八角形の壮大な空間は、色とりどりの大理石や半貴石で覆われており、息を呑むほどの美しさです。また、ミケランジェロが設計した新聖具室には、彼の彫刻の傑作である「昼と夜」「曙と黄昏」の寓意像が安置されており、美術ファンにとっては見逃せないスポットです。
サン・ロレンツォ地区のもう一つの大きな特徴は、活気あふれるサン・ロレンツォ市場(Mercato di San Lorenzo)です。
この市場は大きく分けて二つのエリアに分かれています。一つは、サン・ロレンツォ聖堂を取り囲むように広がる屋外市場です。ここでは、革製品、お土産、衣類などが所狭しと並べられ、観光客で賑わっています。もう一つは、メルカート・チェントラーレと呼ばれる屋内フードマーケットです。
2階建ての建物の中には、新鮮な食材を扱う店から、様々な料理を提供する屋台やレストランまで、あらゆる食のニーズを満たす店が集まっています。特に、2階のフードコートは、地元の人々や観光客で賑わう人気のスポットとなっており、フィレンツェの食文化を体験するのに最適な場所です。
サン・ロレンツォ地区に滞在する最大の利点は、その中心部に位置することによる利便性です。ドゥオモ、ウフィツィ美術館、ヴェッキオ橋など、フィレンツェの主要な観光スポットはすべて徒歩圏内にあり、効率的に観光を楽しむことができます。
また、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅にも比較的近いため、他の都市へのアクセスも容易です。
市場の存在は、この地区に独特の活気を与えています。特にメルカート・チェントラーレは、地元の食材や食文化に触れる絶好の機会を提供しています。
お土産探しだけでなく、地元の人々の生活を垣間見ることができるのも魅力です。また、サン・ロレンツォ地区は、ドゥオモ周辺と比べると、比較的リーズナブルな価格で宿泊施設やレストランを見つけることができます。
しかし、サン・ロレンツォ地区にはいくつかの欠点も存在します。
市場が開いている時間帯、特に日中は、多くの観光客や地元の人々で非常に混雑します。通路を歩くのも困難なほど混雑することもあり、落ち着いて散策したい方には不向きかもしれません。
また、市場の売り子たちは、積極的に客引きを行うため、人によってはしつこく感じてしまうかもしれません。市場の活気は騒音にもつながります。静かな環境を好む方にとっては、この地区は騒がしく感じられる可能性があります。
サン・ロレンツォ地区は、観光客向けの店が多く、他の地区に比べると、より商業的な雰囲気が強いと言えるかもしれません。よりローカルな体験を求めるのであれば、他の地区を検討する方が良いかもしれません。
オルトラルノ
オルトラルノ、すなわち「アルノ川の向こう側」は、その名の通りアルノ川の南岸に広がる地区です。川の北側に位置する観光客で賑わうエリアとは対照的に、より落ち着いた、本来のフィレンツェの姿を体験できる場所として知られています。
職人の工房が数多く点在し、歴史的な建造物や庭園、そして地元の人々の生活に触れることができるオルトラルノは、フィレンツェの魅力を深く味わいたい旅行者にとって、見逃せないエリアです。
オルトラルノの最大の特徴の一つは、職人の街としての顔です。革製品、陶器、ジュエリー、木工、修復など、様々な分野の職人工房が軒を連ねています。
熟練の職人たちが伝統的な技法を用いて一つ一つ丁寧に作り上げる様子は、まさに芸術作品を生み出す過程を見ているようです。
これらの工房では、他では手に入らないユニークな品々を購入することもできます。フィレンツェの伝統工芸に触れたい、特別な土産物を見つけたいという方にとって、オルトラルノはまさに宝の山と言えるでしょう。
オルトラルノを代表する建造物といえば、ピッティ宮殿です。フィレンツェ最大の建築物の一つであるこの宮殿は、かつてメディチ家の邸宅として、その後はイタリア王家の宮殿として使用されました。
現在は、近代美術館、衣装とファッションの博物館、パラティーナ美術館、銀器博物館、馬車博物館の5つの美術館が入っており、一日かけても全てを見て回るのが難しいほど見どころ満載です。
特にパラティーナ美術館には、ラファエロ、ティツィアーノ、ルーベンスといった巨匠たちの名画が数多く所蔵されており、美術愛好家にとっては必見の場所です。
ピッティ宮殿の背後に広がるボーボリ庭園は、イタリア式庭園の傑作として知られています。
広大な敷地内には、美しい噴水や彫刻、緑豊かな木々、そしてフィレンツェの街並みを一望できる絶景ポイントなどが点在しており、まるで屋外美術館のような趣です。街の喧騒から離れて、静かで優雅な時間を過ごしたい時に最適な場所です。
サント・スピリト広場は、オルトラルノ地区の社交の中心地として、地元の人々や観光客で賑わっています。広場周辺には、レストラン、バー、カフェなどが集まっており、特に夕方から夜にかけては、多くの人々で賑わい、活気に満ちた雰囲気を楽しむことができます。
アルノ川にかかる橋の中で最も有名なのはヴェッキオ橋ですが、オルトラルノと対岸を結ぶ橋は他にもあります。
その中でも、サンタ・トリニータ橋とグラツィエ橋は、美しい景観を楽しめるスポットとしておすすめです。特にサンタ・トリニータ橋は、その優雅なデザインから、フィレンツェで最も美しい橋の一つとされています。
オルトラルノに滞在する最大のメリットは、より本物のフィレンツェを体験できることです。
観光客向けの店ばかりが目立つ川の北側とは異なり、オルトラルノでは地元の人々の日常生活に触れる機会が多く、落ち着いた雰囲気の中で街歩きを楽しめます。また、一般的に、ドゥオモ周辺などの中心部に比べて混雑が少ないのも魅力です。
職人工房が集まるオルトラルノでは、他では見つけることのできないユニークな品々に出会えるチャンスが多くあります。手作りの革製品や陶器、ジュエリーなど、思い出に残るお土産を探してみてはいかがでしょうか。
また、オルトラルノには、伝統的なトラットリアからモダンなレストランまで、様々な飲食店が集まっており、フィレンツェの美食を堪能することができます。
ただし、オルトラルノに滞在する際には、いくつかの注意点もあります。サント・スピリト広場周辺は、夜になるとバーやレストランの騒音で賑やかになることがあります。
静かな環境を好む方は、広場から少し離れた場所の宿泊施設を選ぶと良いでしょう。
また、オルトラルノは、川の北側に比べて宿泊施設の選択肢が少ない傾向にあります。ホテルよりも、アパートメントやB&Bなどの小規模な宿泊施設が多いことを考慮しておきましょう。
オルトラルノは、主要な観光スポットからは若干距離がありますが、徒歩圏内です。アルノ川を渡る散歩は、フィレンツェの美しい景色を楽しみながら移動できるので、むしろおすすめの過ごし方と言えるかもしれません。
サン・マルコ地区
サン・マルコ(San Marco)地区は、フィレンツェの歴史と芸術の中心地でありながら、喧騒から一歩離れた落ち着いた雰囲気を味わえる場所です。
主要な観光スポットへのアクセスも良好でありながら、中心部ほど混雑していないため、ゆったりと過ごしたい旅行者にとって理想的なエリアと言えるでしょう。特に、ルネサンス美術に興味がある方や、静かな環境を好む方にはおすすめです。
サン・マルコ地区の中心となるのは、サン・マルコ寺院とサン・マルコ美術館です。かつての修道院を利用した美術館は、ルネサンスの巨匠、フラ・アンジェリコのフレスコ画で世界的に知られています。
特に、2階の僧房にある「受胎告知」は、その美しさと静謐な雰囲気で訪れる人々を魅了します。美術館全体に漂う静寂な空気は、芸術鑑賞をより一層深いものにしてくれるでしょう。
世界的に有名なミケランジェロのダビデ像を所蔵するアカデミア美術館も、サン・マルコ地区の重要な見どころです。常に多くの観光客で賑わい、入場には行列ができることも珍しくありませんが、この傑作を目の当たりにする感動は、並んで待つ価値があると言えるでしょう。
アカデミア美術館には、ダビデ像以外にも、1300年から1600年代のフィレンツェ派の絵画コレクションも収蔵されており、ルネサンス美術を深く知ることができます。
喧騒を逃れて静かに過ごしたい時には、植物園(Giardino dei Semplici)がおすすめです。ヨーロッパでも最古の部類に入るこの植物園は、多様な植物を鑑賞したり、木陰で休憩したりと、都会の喧騒を忘れてリラックスできる空間です。
サン・マルコ広場は、ドゥオモ広場やシニョリーア広場のような華やかさはありませんが、地元の人々の生活に触れることができる、落ち着いた雰囲気の広場です。カフェでコーヒーを飲んだり、ジェラートを食べながら人々を眺めたりと、ゆったりとした時間を過ごすのに最適です。
サン・マルコ地区に滞在するメリットは、主要な美術館へのアクセスの良さと、比較的静かな環境の両立です。アカデミア美術館やサン・マルコ美術館へは徒歩ですぐに行くことができ、美術鑑賞をメインに考えている方には特に便利です。
また、中心部と比べると混雑が少ないため、落ち着いて街歩きを楽しめます。地元住民と観光客が混ざり合った、よりローカルな雰囲気を味わえるのも魅力です。宿泊費や食費も、中心部より比較的リーズナブルなことが多いです。
主要な観光スポットへも徒歩圏内ですが、ヴェッキオ橋やウフィツィ美術館など、場所によっては10〜15分程度歩く必要があります。また、アカデミア美術館周辺は、特に日中は大変混雑します。主要道路沿いは交通量が多く、騒音が気になる場合もあります。
レプッブリカ広場
レプッブリカ広場(Piazza della Repubblica)は、フィレンツェの中心に位置する、ひときわ目を引く広場です。その歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。
かつては都市の公共広場や市場として機能し、中世、ルネサンス期を経て、現在の姿へと変貌を遂げました。広場を囲む壮麗な建物群と、常に活気に満ちた雰囲気は、訪れる人々を魅了します。
シニョリーア広場のような美術館的な雰囲気や、ドゥオモ広場のような宗教的な荘厳さとは異なり、レプッブリカ広場は、都会の喧騒と優雅な雰囲気が調和した、独特の魅力を持っています。
広場の中心にそびえ立つアボンダンツァの柱は、この場所が古代ローマ都市フィレンツィアの中心であったことを示しています。文字通り「豊穣の柱」を意味するこの柱は、街の繁栄を象徴し、長きにわたり広場のシンボルとして存在感を放っています。
広場の西側を大きく覆うアルコーネ(凱旋門)は、19世紀後半の広場の再開発時に建設されました。その堂々とした姿は、広場のランドマークとして、多くの人々に親しまれています。
レプッブリカ広場を語る上で欠かせないのが、歴史あるカフェの存在です。広場周辺には、創業100年以上という老舗カフェが点在し、優雅な雰囲気の中でコーヒーやペストリー、アペリティーボを楽しむことができます。
特に、ジッリ(Gilli)、パスコウスキー(Paszkowski)、カッフェ・リヴォワール(Caffè Rivoire)は、その歴史と格式で知られ、地元の人々や観光客に愛されています。
これらのカフェは、単に飲み物や軽食を提供する場所ではなく、フィレンツェの文化と歴史を体感できる特別な空間と言えるでしょう。
広場を取り囲む建物群は、その優美なファサードと壮麗な建築様式が特徴的です。これらの建物は、かつてこの場所が商業と社交の中心地であったことを今に伝えています。
また、時期によっては、広場にメリーゴーランドが設置され、子供たちの歓声と軽快な音楽が広場を彩ります。これは、広場の雰囲気に、どこか懐かしく、温かい空気をもたらしています。
レプッブリカ広場に滞在する最大のメリットは、その抜群の立地です。
フィレンツェの中心に位置するため、ドゥオモ、ウフィツィ美術館、ヴェッキオ橋、シニョリーア広場など、主要な観光スポットへ徒歩で容易にアクセスできます。街のあらゆる場所にアクセスするのに非常に便利な拠点と言えるでしょう。
広場は常に活気に満ち溢れています。大道芸人によるパフォーマンス、観光客の賑わい、地元の人々の日常の風景が混ざり合い、独特の賑わいを生み出しています。
特に日中から夕方にかけては、広場全体が活気に包まれ、フィレンツェのエネルギーを感じることができます。広場周辺のカフェは、絶好の人間観察スポットです。
行き交う人々を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすのは、フィレンツェならではの楽しみ方の一つです。また、共和国広場周辺は高級ブティックやデザイナーズショップが集まるエリアでもあり、ショッピングを楽しむにも最適な場所です。
しかし、レプッブリカ広場にはいくつかのデメリットも存在します。まず、その一等地という特性上、物価が高いことが挙げられます。
宿泊施設、レストラン、ショッピングなど、あらゆる面で他のエリアよりも価格設定が高めです。また、常に多くの観光客で賑わっているため、特にピークシーズン中は混雑を避けられません。人混みが苦手な方にとっては、落ち着いて過ごすのが難しいかもしれません。
レプッブリカ広場周辺は、観光客向けの要素が強く、他の地区に比べると、地元の人々の生活に触れる機会は少ないかもしれません。よりローカルな体験を求めるのであれば、オルトラルノ地区などを検討する方が良いでしょう。
夜間は、レストランやバーの騒音、路上での活動などにより、騒がしくなることもあります。静かな環境を好む方にとっては、気になる点かもしれません。
サンタ・マリア・ノヴェッラ広場
サンタ・マリア・ノヴェッラ広場(Piazza Santa Maria Novella)は、フィレンツェの中心部に位置し、その歴史的、芸術的な価値と交通の便の良さから、多くの観光客にとって魅力的な場所です。
しかし、主要鉄道駅に近接しているため、夜間は治安に注意が必要な側面もあります。初めてフィレンツェを訪れる方は、このエリアの特性を理解した上で滞在場所を選ぶことが大切です。
広場の名前の由来ともなっているサンタ・マリア・ノヴェッラ教会は、ゴシック様式とルネサンス様式が融合した壮麗な建築物です。
レオン・バッティスタ・アルベルティによって設計された美しいファサードは、ルネサンス建築の傑作として高く評価されています。
教会内部には、マザッチョ、ギルランダイオ、フィリッピーノ・リッピといった巨匠たちによる貴重なフレスコ画が数多く残されており、美術愛好家にとっては見逃せないスポットです。隣接する回廊や博物館も、歴史と芸術の息吹を感じられる空間となっています。
広々としたサンタ・マリア・ノヴェッラ広場は、教会を正面に据え、周囲を歴史的な建物で囲まれた美しい空間です。イベントや催し物が開催されることも多く、市民の憩いの場としても親しまれています。
広場を散策しながら、周囲の建築物を眺めるだけでも、フィレンツェの歴史と文化に触れることができるでしょう。
フィレンツェの玄関口であるサンタ・マリア・ノヴェッラ駅は、広場からすぐの場所に位置しています。鉄道を利用して他の都市へ移動する旅行者にとっては非常に便利ですが、駅周辺は常に多くの人々で賑わっているため、夜間は治安に注意が必要です。
広場の近くには、20世紀のイタリア美術を専門とするMuseo Novecento(20世紀美術館)があります。ルネサンス美術が中心のフィレンツェにおいて、近代美術に触れることができる貴重な場所です。
サンタ・マリア・ノヴェッラ広場周辺に滞在する最大のメリットは、その交通アクセスの良さです。鉄道駅がすぐ近くにあるため、他の都市への移動が非常にスムーズです。
また、ドゥオーモ、ヴェッキオ橋、ウフィツィ美術館といった主要な観光スポットへも徒歩圏内という、観光拠点として申し分のない立地です。
歴史と芸術に彩られた教会が目の前にあるというのも、このエリアならではの魅力と言えるでしょう。周辺にはレストランやショップも充実しており、食事や買い物にも困りません。
しかし、このエリアには注意すべき点もあります。特に夜間は、駅周辺で治安が悪化する傾向があり、軽犯罪などに巻き込まれるリスクも否定できません。
夜間の単独行動は避け、貴重品の管理には十分注意する必要があります。駅周辺は常に多くの人々で混雑しており、特に観光シーズン中は落ち着いて過ごすのが難しいかもしれません。また、交通量が多く、騒がしいと感じることもあるでしょう。
フォルテッツァ・ダ・バッソ
フォルテッツァ・ダ・バッソ(Fortezza da Basso)は、16世紀に築かれた巨大な要塞であり、現在のフィレンツェにおいて独特の役割を担っています。
かつての軍事要塞は、時を経てフィレンツェの主要な展示・コンベンションセンターへと姿を変え、様々なイベントの舞台となっています。このエリアは、歴史的中心部とは異なる趣を持ち、ビジネスやイベント参加を目的とする旅行者にとって、利便性の高い選択肢となります。
この要塞は、アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネによって設計され、ルネサンス期の軍事建築の傑作として知られています。
重厚な城壁、堅牢な稜堡、そして周囲を囲む堀は、かつての軍事要塞としての威容を今に伝えています。内部は現代的な展示スペースへと改装されていますが、外観は当時の面影を色濃く残しており、フィレンツェの歴史を肌で感じることができます。
現在、フォルテッツァ・ダ・バッソは、国内外の見本市、会議、ファッションショー(ピッティ・ウォモなど)、コンサート、文化イベントなど、多種多様なイベントが開催される中心地となっています。
特に、ピッティ・ウォモのような国際的なファッションイベントの際には、世界中から多くの人々が集まり、活気に満ち溢れます。
フォルテッツァ・ダ・バッソの大きな利点の一つは、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に非常に近いことです。鉄道を利用する旅行者にとっては、アクセスが非常に便利です。
また、トラムの路線も近くを通っており、市内の他のエリアへの移動も容易です。空港へのアクセスも、トラムと鉄道を乗り継ぐことでスムーズに行えます。
要塞周辺には、緑豊かな庭園や公園が整備されており、都会の喧騒から離れて静かに過ごせる空間も提供されています。イベント開催時以外は、比較的静かで落ち着いた環境であることも、このエリアの特徴です。
また、時期やイベントスケジュールによっては、歴史的中心部よりも手頃な価格で宿泊施設を見つけることができる可能性もあります。
しかし、フォルテッツァ・ダ・バッソにはいくつかの注意点もあります。まず、主要な観光スポットからはやや距離があります。
ドゥオモまでは徒歩で20〜30分程度かかり、他の観光スポットへも徒歩での移動には少し時間がかかります。そのため、観光をメインとする場合は、公共交通機関の利用が中心となるでしょう。
また、フォルテッツァ周辺には、レストランやバーなどの飲食店は限られています。食事やナイトライフを楽しむためには、市中心部まで足を運ぶ必要が出てくるでしょう。
このエリアは、歴史的中心部のような魅力的な雰囲気や活気にはやや欠け、ビジネス街や住宅地といった印象が強くなっています。イベントが開催されていない時期は、閑散として静かすぎるように感じるかもしれません。
まとめ
フィレンツェを思いきり楽しむためには、どのエリアに滞在するかが大切なポイントです。本記事でご紹介した10のエリアは、それぞれに異なる魅力があり、初めてフィレンツェを訪れる方にもぴったりの滞在先となるでしょう。
歴史の中心地であるドゥオーモやピッティ宮殿周辺のエリアでは、フィレンツェの豊かな歴史と文化を肌で感じながら、毎日が特別な時間になること間違いありません。
例えば、シニョリーア広場(Piazza della Signoria)は、フィレンツェの歴史と芸術の中心であり、多くの名所が集まるエリアです。また、ポンテ・ヴェッキオ(Ponte Vecchio)では、ロマンチックな橋の景色を楽しみながら、ショッピングや散歩ができます。
地元の暮らしを感じられるサンタ・クローチェ(Santa Croce)やサン・ロレンツォ(San Lorenzo)エリアでは、地元の市場やカフェを訪れることで、温かな雰囲気を味わうことができます。
オルトラルノ(Oltrarno)は、職人文化やアートが息づくエリアで、個性的なお店やギャラリーを巡る楽しみが広がります。一方、サン・マルコ(San Marco)地区では、静かな環境で美術館や教会を訪れるひとときを過ごすことができます。
レプッブリカ広場(Piazza della Repubblica)やサンタ・マリア・ノヴェッラ広場(Piazza Santa Maria Novella)は、カフェでのんびりと過ごしながら、美しい街並みを楽しむのにぴったりです。
そして、フォルテッツァ・ダ・バッソ(Fortezza da Basso)は、イベントやフェスティバルが盛んなエリアとして、フィレンツェの現代的な一面を感じさせてくれるでしょう。
これらのエリアを拠点に滞在すれば、フィレンツェの多彩な魅力を存分に味わえます。歴史、文化、美食が織りなす街の魅力を存分に体験しながら、自分だけのフィレンツェの旅を作り上げてください。
アンティークバイヤーのみさきです。好きな言葉は「百聞は一見に如かず」