金は今後も上昇する?今買うべき?
2024年5月現在、金価格は過去最高値付近で取引されています。この上昇は、中央銀行の多様化、予想されるFRBの利下げ、インフレ懸念、そして個人投資家の熱狂が、金の記録的な価格高騰の主な原動力となっています。以下、主要な要因を詳しく解説します。
新興国中央銀行による金購入の拡大
中国、トルコ、インド、ロシアなどの新興国中央銀行は、自国の外貨準備を分散化し、リスクを低減するために金を購入しています。米ドルの価値が低下傾向にあることや、米国の金融政策が自国の経済に悪影響を及ぼす可能性への懸念から、金への投資を拡大しています。
中国の中央銀行は17ヶ月以上前から積極的に金を購入しており、昨年の世界の中央銀行による購入額の4分の1を占めています。
この傾向は2008年の世界金融危機以降特に強くなっており、これらの銀行は米ドル、ユーロ、円のような不換紙幣から外貨準備を分散しようとしています。例えば、2023年には世界の中央銀行が約1,037トンの金を購入しており、中国が主要な買い手となっています。
また、ウクライナや中東の紛争など地政学的緊張が続いているため、潜在的な制裁や経済不安から外貨準備を守るために金を購入しています。
金は、インフレや経済危機などのリスクに強い資産とみなされています。中央銀行は、金を購入することで、自国の将来世代のために資産価値を保存することを目指しています。
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中国個人投資家の金需要増加
中国では、経済不安と人民元安が、個人投資家をより安全な投資対象へと向かわせています。中国の株式市場と不動産セクターの低迷により、多くの投資家が信頼できる価値の貯蔵品として金に目を向けるようになっています。
中国では投資の選択肢が限られているため、個人投資家の金購入が増加しています。これには、延べ棒やコインなどの金現物の購入や金ETFへの投資が含まれます。
金は有形資産であり、特定の政府や経済のパフォーマンスに直接連動しないため、魅力的なヘッジとなっています。
中国における金ETFの資金流入の急増は、他の地域における資金流出とは対照的であり、強い国内需要を浮き彫りにしています。
その他の要因
投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレに対抗するために今年後半に金利を引き下げると予想しており、利回りのない金は債券のような収入を得る資産よりも魅力的になっています。
原油価格の上昇はインフレ懸念を煽り、インフレヘッジとしての金の需要をさらに高めています。
個人投資家も金に投資しており、コストコは最近、旺盛な需要を背景に金の延べ棒の販売を開始しました。
金価格が上昇する不可解な理由
- 欧米では、投資家の陶酔感や金ETFへの資金流入が不足している。金ETFの保有量は2024年には実際に減少している。
- 金現物のプレミアムとアメリカン・イーグル・コインの販売は通常通りであり、大きな強気相場を示すものではない。
- 金鉱株は、これまでの強気相場とは異なり、金価格の上昇を下回っている。
アナリストの予測では、金価格は上昇を続け、2025年末にはピークで1オンスあたり3,000ドルを超えると予想する者もいます。しかし、2024年には1オンスあたり2,200ドルから2,300ドル程度と、より保守的な予想をしているアナリストもいます。
結論
金価格上昇は、新興国中央銀行による金購入の拡大、中国個人投資家の金需要増加、世界的なインフレ懸念、低金利環境、世界の金生産量の減少など、様々な要因が複合的に作用した結果といえます。これらの要因が持続する限り、金価格は更なる上昇が見込まれます。
金は、インフレや経済危機などのリスクに強い資産とみなされており、中央銀行や個人投資家にとって、資産価値を保存するための重要な手段となっています。
とは言っても、金投資には、インフレ防止、ポートフォリオの分散、流動性といった長所がある一方、利回り不足、ボラティリティ、保管コストといった短所もあります。
米国のインフレデータ、連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定、中国や新興国からの継続的な需要などの要因が、2024年の金の軌道に影響を与えるでしょう。
金は、インフレ対策やポートフォリオの分散化としても有効な資産です。 有形資産で売買も容易なため、投資家にとって魅力的な存在と言えるでしょう。
しかし、金価格上昇だけが投資判断の理由ではありません。専門家は、ポートフォリオ全体の10%以下を目安に、金への投資を推奨しています。

バイヤーのつばさです。今やっている点と点が、いつかつながると信じて行動しています。